リーダーズアカデミー・嶋津

中小企業ではあまり極端なことはできないかと思いますが、得意分野を持った人を適所適材で活躍してもらえれば、その得点の会社になるというのは当たり前のこと

これまでの中途の採用では、その分野の専門家と思いながら経験に加え、全体的なバランスまで求めていたような気がします。
なので、なかなか求める人材がいないということになっていたのかもしれません。

そこはそこで割り切るのも中小企業の採用には必要なのでしょう。
新卒の採用でも、若干その傾向があったように思います。受け入れる側で必要なスキルが合致すればその他のところはある程度は目をつぶる。人物的に問題なければ、苦手なところは会社でカバーする。
そうすると得意なところの点数の会社になっていく。会社はできる限り従業員の強みが生きる人事をします。

高校・大学受験と企業採用は根本的に違います。次の2人の点数を比べてみてください。
・Aさん国語60点、数学50点、英語70点=平均60点
・Bさん国語90点、数学20点、英語10点=平均40点
受験であれば、合格するのは平均点60点のAさんです。学生時代の学びには、バランスよく身につけることが重要視されていたので、無理もありません。

しかし、企業であれば、平均点が40点でも、国語がずば抜けたBさんです。
国語が90点、数学が20点のBさんには、社内で国語ばかりをやってもらえばいいだけです。無理に苦手な数学を任せる必要はありません。
数学分野の能力が必要ならば、数学が90点の従業員が担当すればいいのです。

そのような視点で従業員を吟味し、適任者がいなければ、新たに採用します。これが理想の採用といえます。
この段階ですでに人材の必要性が明白で、どんな能力が求められるかもはっきりしています。この状況からスタートすることが採用戦略の基本です。

真の採用とは、時期が来たから募集するわけでも、とにかく優秀な人を求めることでもありません。採用は本当に会社が人材を求めているときに、必要な能力を明確にしてから行うものです。
会社はできる限り従業員の強みが生きる人事をします。アベレージが60点の人より、一教科90点の人を集め、それぞれの分野で活躍してもらう方が人も組織も活性化します。

これこそが、「個人でする受験」と「組織でする仕事」との大きな差です。
ドラッカーも経営にとって大切なことは、「強みにフォーカスする」ということを、ことある事にメッセージとして送ってきた方でしたが、「組織の役目は、人の強みを成果に結びつけ、人の弱みを中和することにある」と語っています。

また、「あらゆる者が、強みによって報酬を手にする。弱みによってではない。従って、常に問うべきは、『我々の強みは何か?』である」とも話しています。90点の人材をすべての分野でそろえられれば、結果としてアベレージ90点の会社になります。そうやって人と組織が強化されていくのです。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より